ここに語り部の少女がいる。冷たい神殿の中でぽつんとひとり。
その目に映るは、人々の欲望と浅ましさ。
何か語れば、その言葉は人々を死へと追いやる。
――だれかだれか助けてよう、震える心を抱えて今日も少女は涙する。
突き動かされるように、戦争へと向かう人々。
その陰で哄笑する者が一人。戦争だ戦争だ、愛してやまない戦争だ、と。
狂乱の中で、かき消えそうになる想い。
殺しに疲れた暗殺者はそれを繋ぎ止めることができるだろうか?
モノトーンミュージアム「茜色の絆」
――かくして物語は紡がれる。
NPCパートナー:ローザ・リブレット
君は赤銅の鈴の暗殺者ハチャトリアン(トレイメントp166)だ。君の胸の内には、自身に降った御標――""孤独な殺し屋は薔薇の香りの中で安らかな眠りを得るのでした""が渦巻いている。
ある日、かつての恋人であるローザからの手紙が届いた。そこには君とローザの間には娘がいること、娘が語り部として神殿に閉じ込められていること、病によってローザは先が長くないことなどが書かれていた。
手紙を読んだ君はいてもたってもいられず、ローザに会いに行くことを決めた。
……手紙からは薔薇の香りがした。
パートナー:リリィ・リブレット
君は“神託の国”の神殿に仕えるものだ。
神殿には御標の語り部であるリリィ・リブレットがいる。語り部を祭り上げ、保護するという体裁を取っているが、実際には無理やり閉じ込めているようなものだ。
君はリリィと接し、世話を焼くうちにこの寂しさに震える少女をどうにかしてやりたいと思った。
彼女をこの檻から解き放つ方法は何かないだろうか?
パートナー:“将軍”ダウゲ・クリーク
君は""神託の国""の紡ぎ手だ。最近この国はおかしい。
語り部リリィ・リブレットによって語られる御標は戦争に関するものばかり。また、御標が語られるにつれてほつれが開き始め、その数を増していることに君は気づいた。
この事態を解決するために、まずはこの国の神殿にいる語り部のもとに君は向かった。
パートナー:“マキャヴィティ”プラトー
君は“赤銅の鈴”の一員、組織の邪魔になるものや裏切ったものを処理する始末屋だ。
“赤銅の鈴”のボス、プラトーからハチャトリアンが組織を抜けた可能性があると告げられた。
ハチャトリアンが本当に組織を抜けたのかを確かめ、脱走が事実なら処刑せよ、との命令を受けた君は、ハチャトリアンを追って、""神託の国""へ向かった。
基本ルールブック、インカルツァンド、トレイメント、フィオリトゥーラ、SSSVo2.Vol3のアイテムデータ
サンプルキャラクターを用意するつもりですが、基本ルールブックやサプリメントをお持ちの方は自作でも大丈夫です。
トレイメントp166に掲載されたパーソナリティのハチャトリアンをPC①、同ページのリリィ・リブレットをこのシナリオの重要人物として配置しています。
また、ハチャトリアンに恋人がいる、ハチャトリアンとリリィ・リブレットが親子であるなど、独自の設定を多く盛り込んだシナリオであることにご注意ください。
GMを務めさせていただくクロウタと申します。
今回は、公式パーソナリティーズを眺めていたGMの“ひょっとしたらこんなことがあったかもしれないな”という想像を詰め込みました。
演目の舞台となるのが南部紛争地帯ということもあり、シリアスさを重視したシナリオとなっています。
儚い願いは果たして叶うのか、か細い絆はそのまま断ち切られてしまうのか。これらは紡ぎ手たちの選択と行動に懸かっているでしょう。
参加される皆さんと一緒に楽しいセッションを作り上げられるように精一杯努めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。