むかしむかし、あるところに。
《御標の通りに》赤い頭巾をもらった、かわいい女の子がいました。
皆は《御標の通りに》赤い頭巾の似合うその子を『赤ずきん』と呼びました。
『赤ずきん』は《御標の通りに》こんな質問をしました。
「どうして、あなたの耳は、そんなによく動くの?」
「どうして、あなたの目は、そんなに光っているの?」
「どうして、あなたの手は、そんなに爪がとがっているの?」
「どうして、あなたの口は、そんなに大きく開いているの?」
【牙持つ『獣』に『赤ずきん』は食べられました。
獣は『狩人』に撃たれました。
おかげで国中のみんなは、頭巾のように真っ赤にならずにすみました。
めでたしめでたし】
『でも』
『どうして、あなたの頬は、そんなに濡れているの?』
モノトーンミュージアムRPG
『真っ赤な嘘と赤ずきん(Red lie and Little Red Riding Hood)』
―かくして紡がれる物語では、誰かが、“嘘”をついている。
シナリオパートナー:『大切な人』/推奨感情:自由 推奨クラス:童子
※PC1は『紡ぎ手』ではありません(覚醒はセッション中を予定)
※『大切な人』の詳細はGMと相談の上、PLが決定すること。
あなたは、稲穂の国で『大切な人』といっしょに暮らしている。
『大切な人』は長く患っており、そのせいで目も悪くなってきているが、
それでも日々は平和で、あなたたちは幸せだった。
だが『大切な人』に、もう終わったはずの《赤い頭巾の御標》が降される。
どんなに嘆き叫んでも、御標はもう変えられない。
だからあなたは、赤い頭巾をかぶり、『獣』が待つ、森へと向かった。
神よ、この"真っ赤な“嘘”をどうか許し給え。
シナリオパートナー:『獣』/推奨感情:忘却 推奨クラス:からくり
あなたは、PC1の家で農作業に従事していた、からくりだ。
造られて随分と古いせいか、意思に乏しく、ずっとただの機械のようだった。
しかし、『大切な人』に《赤い頭巾の御標》が降された日、
自ら『赤ずきん』となったPC1が森へと消えていったのを見て、
止まりかけていた木製の
動くたびに身体の中でカラカラと音がして、過去の記憶も曖昧なままだが、
大切なのは、いつだって今だ。動かずにいても、今は“嘘”になったりしない。
だからあなたは、自分の意思で踏み出した。
シナリオパートナー:『大切な人』/推奨感情:尽力 推奨クラス:海守り
あなたは、海のない稲穂の国ではとても珍しい、海守りだ。
異形を嫌悪するこの国に残る「海守りは異形の類」だという誤解のせいで
迫害され生命さえ危うかったが、あるとき『大切な人』が、匿ってくれた。
「目がよく見えないから、あなたがどんな姿かわからないし、怖くありません。目がよく見えなくても、あなたがよい人だってことは、わかります」
そしてPC1と共に、皆の誤解を解いてまわり、住む所まで世話してくれた。
そんな彼らに、《赤い頭巾の御標》が降された。
「我が感謝は海のように深い。いつか必ずこの恩義は返す」
あなたは、かつて誓った己の言葉を“嘘”にするわけにはいかない。
シナリオパートナー:嘘屋/推奨感情:不安 推奨クラス:狩人
「オオカミが出たぞー!」
悪戯好きの羊飼いが幾度となくあげる叫びが、“嘘”だと知って、
誰も助けに行かなかった。その結果として、無残に食いちぎられた
誰とも判別のつかない肉のかたまりが転がっていた……。
そして今、稲穂の国に、再び《赤い頭巾の御標》が降された。
偶然この国に来た旅人のあなたは、「御標が示す『狩人』になってほしい」
という人々の求めに応え、大いに歓待を受けることになった。
しかし「既に『赤ずきん』がひとりで森に向かった」という報せが入り、
宴もそこそこに、あなたは急ぎ森へと駆け出していく。
基本ルールブック・インカルツァンド・トレイメント
ちょっとそこゆくTRPG好きの坊っちゃん、お嬢さん!
よってらっしゃい!みてらっしゃい!
おっといけないご挨拶!わたくし、ありまと申します!(深々と一礼)
さてさて、今回の「おはなし」は、みんな大好き『赤ずきん』!
白と黒のモノトーンに、ちょっとだけ【秘密】の赤を混ぜ合わせ、
表と裏がくるくる風車みたいに回る、ハラハラドキドキのおはなし!
みんなで「めでたしめでたし」のハッピーエンドな一日を目指しましょうね!
……ただ、皆さんの選択で、その『色』は変わる可能性もございますので、
悪しからずご容赦下さいますよう。なにせ、アイロニックメルヘンなもので。