今回予告
ここには、かつて国があった。
弱き人々が苦しみ、傷つき合う、醜くも悲しい国が。
でも、そんな悲しみはもう燃え尽きた。
かつての悲哀を薪にして、今は幸福を燃やし続ける。
ようこそ、悲しみと愁いを抱いた人。ここは“紅蓮の国”。
揺らめく炎の幸福に、永遠に微睡むための場所。
モノトーンミュージアム
『マッチ売りの少女』異聞:幻燈
かくして、物語(かなしみ)は焼却される。
このシナリオは、伽藍によって「PCの過去」が上書きされ、
ただただ幸せな人生をPCが送っている――という特殊なスタートをします。
「悲しみに満ちた過去なんて、一切いらない」
「自分の幸せの為なら、全てを犠牲にしてもいい」
そんな歪んだ伽藍の想いに、それぞれのPCが苦悩しながらも答えをしていこう――そんなシナリオです。
サンプルキャラ:名もなき旅人 パートナー:“マッチ売りの少女”
君は、“紅蓮の国”の住人だ。
君には、かけがえのない大切な人がいる(関係性は、妻、恋人、姉、妹、娘、母、友人、幼馴染などなんでもよい)。彼女とのかけがえのない日々を守る…それが、君にとっても幸せだ。
ああ、でもなぜだろう。愛しい彼女。愛しいはずの彼女と過ごす日々の中で、言い知れぬ違和感が拭えないのは…。
焼却されたハンドアウト①
君は“左の地”の各地を旅してきた。
そんな中で興味を持って赴いたのが、「その国では誰もが幸せになれる」と言われている“紅蓮の国”。
深い深い雪山の奥まで踏み入って、国があると聞いていた場所にあったのは、一面の焼け野原。これは、一体――?
そう思った瞬間、君は猛烈な眠気に襲われた。
サンプルキャラ:御標の守護者 パートナー:“紅蓮の国”の人々
君は、“紅蓮の国”の教会で祈りを捧げる僧侶だ。この国はとても平和である。幸福な御標が下り、異形の出現もなく、人々は穏やかに平和な時を過ごす。まさしく、神に祝福された国なのだろう。今日も聖女が薪をくべて、“燈台”は平穏を告げる御標を下す。
しかし、嗚呼、何故なのだろう。国を照らす穏やかな炎を見るたびに、胸の奥がざわめくのは――。
焼却されたハンドアウト②
君はかつて、雪山の奥深くにある国、“紅蓮の国”の教会の僧侶だった。
極寒の地の奥深くにあるこの国の暮らしは過酷で、人々の心もまた荒んでいた。
ある日、一人の少女が異端審問にかけられた。貧しい孤児の少女である。火刑に処すよう命じられたのは、他でもない君。君は哀れな少女を殺せなかった。御標に背いてでも、だ。
その躊躇いの瞬間、紅蓮の炎がキミの視界を覆い尽くした。
サンプルキャラ:死をもたらす影 パートナー:“燈台守の聖女”
君は、“紅蓮の国”の主、“燈台守の聖女”に仕えている。君の主は“紅蓮の国”をよく治め、この国に幸福な御標を下す“燈台”の灯を守り続ける。そんな彼女を支えることが、君の「御標」だ。
――そう、それで良い、はずだ。だって、今の君には守るべきものがある。それは幸福なことのはずだから…。
焼却されたハンドアウト③
君は紡ぎ手であると同時に、異形でもある。
君はかつて、大切なものを守れなかった(国、家族、友人…なんでもよい)。
悲嘆と後悔の中で、君がたどり着いたのは“紅蓮の国”。国とは名ばかりの焼け野原。
そこで、君は猛烈な眠気に襲われる――。
サンプルキャラ:針の魔女 パートナー:アリア・B・コロラトゥーラ
君は、裁縫師組合に所属する裁縫師だ。君はかつて“紅蓮の国”という国があった、雪山の奥地へとやって来た。
ここには、特殊な“ほつれ”が展開されている。“ほつれ”の中には本来「何もない」はずなのに、ここの“ほつれ”には「中」がある。しかも、中から加速度的に“ほつれ”が広がっているのだ。この“ほつれ”を縫い留めるには、「中」に入るしかない。
基本ルールブック・インカルツァンド・常闇のシェヘラザード・トレイメント・フィオリトゥーラを使用
・PC①~③には「焼却されたハンドアウト」に書かれている設定は、今回のシナリオのボスによって上書きされている。
ハンドアウトに従ってライフパスを決定するが、PCはシナリオ開始時にはその設定を全て忘れており、“紅蓮の国”の住人として幸福な生活を送っていることになる。(紡ぎ手でもなく、御標に逆らうこともできない)
・PC達の「焼却されたハンドアウト」は、シナリオの中で思い出すシーンを作る。
その際に記憶と共に、紡ぎ手の力を取り戻す。
・“紅蓮の国”での設定はあくまで仮初の姿に過ぎない。
シナリオをクリアすると、全て消え去ることを想定しているので注意すること。
GMを務めさせていただく、朱雛(あけひな)と申します。
モノトーンミュージアムで は、伽藍は自由に御標を改変できます。
国の消滅、愛しき人の死、正しい物語の消滅――その影響はシナリオによって様々です。
今回のシナリオでは、伽藍は皆さんの「過去」――メタ的には皆さんのキャラの「設定(ライフパス)」を上書きしてしまいます。
悲しい思い出、苦しいトラウマ、そんなものなんて要らないでしょう?
代わりに与えられたのは、世界を犠牲にして得られた偽りの幸せ。
そんな中で、過去を取り戻していったPCがどのような決断を下すのか――
PLの皆さんと一緒に、楽しく紡いでいきたいと思います。
ご同卓の皆様、よろしくお願いいたします。